循環器科(心臓病)
循環器科(心臓病)
心臓や血管の病気を診察する科です。
老齢の小型犬や猫に多く、元気・食欲の低下、呼吸の異常、疲れやすいなどの症状が見られる時は心臓の異常が疑われます。
当院では心臓の聴診から、レントゲン検査、心電図検査、血圧測定、超音波検査(エコー)などの高度な検査まで駆使して、心臓病の診断・治療を行います。
心エコー検査に代表されるように特別な知識や技術を要する分野のため、循環器の専門家による特別診療や手術も行っています。
循環器科の病気
心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、大動脈弁閉鎖不全症、肺動脈弁閉鎖不全症)、心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、不整脈原性右室心筋症)、心膜水貯留、心タンポナーデ、胸水貯留、心筋炎、動脈管開存症、大動脈弁狭窄症、肺動脈弁狭窄症、心房中隔欠損、心室中隔欠損、エプスタイン奇形など
担当獣医師
伊藤大輔
北里大学卒。
都内の動物病院での勤務後、犬と猫の心臓病の診療を専門として独立。
現在は関東を中心に複数の動物病院で診察を行う。
【伊藤獣医師の診察日】
毎月第2月曜日・第4木曜日
当院にかかったことのない新規の循環器科の診察ご希望の方は、伊藤獣医師の以下のサイトからお申し込みください。
https://dogcatheartmedical.mailerpage.com/request
実績
1. 咳が出るミックス犬(僧帽弁閉鎖不全症)
14歳のミックス犬が、咳、疲れやすい、呼吸が荒いなどの理由で来院されました。
心臓から雑音が聴こえるほか、お腹に水が溜まって膨らんでいました。
心エコー検査やレントゲン検査など、一通りの心臓の検査を行ったところ、心臓の中にある僧帽弁という扉が上手く閉まっていないと分かりました。
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)という病名で、犬に最も多い心臓病です。
病気の影響で、心臓のサイズはかなり大きく、肺にも水が溜まっており、末期に近い状態でした。
お薬の治療だけでは限界があったため、手術の出来る施設をご紹介し、弁を直す手術を行いました。
かなり厳しい状況でしたが、手術は無事に成功しました。
手術後は飼い主様が驚くほど非常に元気になり、咳や腹水などの心臓病による症状は一切無くなりました。
お薬も軽いものを一種類飲むだけで済むようになりました。
この子の胸を横から撮影したレントゲン写真です。
左が手術前、右が手術後です。
矢印で示された心臓のサイズが目に見えて小さくなっています。
2. 心臓の雑音が聴こえたポメラニアン(動脈管開存症)
生後2ヵ月程度のポメラニアンの男の子です。
ワクチン接種時の聴診で心雑音が聴こえたため、心臓のチェックで来院しました。
身体検査をしてみると、心臓の雑音だけでなく、呼吸が荒かったり、脈にも異常が見られ、生まれつきの心臓の異常が強く疑われました。
エコー、レントゲン、心電図、血圧測定など一通りの検査を行ったところ、動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)という心臓病が見つかりました。
動脈管開存症とは、本来なら胎児期のみ使われる動脈管という血管が、生まれた後も残ったままになる血管の異常です。
この異常のせいで血液が上手く心臓から出て行かず、心臓に血液が溜まってパンパンになっていました。 このまま放置すると成長が悪くなるだけでなく、若くしてお別れとなる可能性が大だったため、ご相談の末、手術を行いました。 生後約2ヵ月と若く、体重も1kgちょっとの子だったため、ご家族も心配されていましたが、手術は無事成功し、元気に退院していきました。
手術前(左)と手術後(右)の胸のレントゲン写真を比べると一目瞭然ですが、心臓のサイズが正常に戻っています。
この子は手術後すくすくと成長し、今では立派な大人のポメラニアンになりました。
自宅ではとても元気に動き回っており、手術以来お薬も飲んでいません。
最近の悩みは心臓病ではなく、人見知りです(笑)。